外来患者の4割が「医師の紹介」で病院を選択ってホント?

先日、日経メディカルに「外来患者の4割が「医師の紹介」で病院を選択 症状がある患者の6割が受診まで1週間以上様子見」というタイトルの記事が投稿されていた。

内容は、厚生労働省が2018年9月4日に発表した「平成29年受療行動調査の結果」を簡潔にまとめたもの。
・層化無作為抽出した一般病院490施設
・2017年10月17~19日の3日間に来院した患者14万5700人
を対象に調査を行った結果、「医師による紹介」が最も多く、外来患者の37.3%、入院患者の51.0%になったとのこと。

調査方法については特に意見はないが、「病院」という用語と調査結果に違和感があったので、調べてみた。

まず、病院というのは簡単にいうと「20床以上の入院設備がある医療機関」となる。
「19床以下の入院設備がある又は入院設備がない医療機関」は「一般診療所」という括りになる。

気になるのは、この「病院」が「20床以上の入院設備がある医療機関」ということをどれだけの人がわかっているのかということ。病院≒すべての医療機関、と思われているのではないか
「日経メディカル」の記事なので、読者は基本的に医療関係者だから「病院」の意味はわかってるでしょ、と言われればそれまでではあるが。
しかし、この「病院」と「一般診療所」の区別がわからない人が記事を読むと、「すべての医療機関で外来受診する人の約37%は医師の紹介なんだね」と思う可能性が高いと思われる。

しかし、実際は「20床以上の入院設備がある医療機関へ外来受診する人の約37%は医師の紹介」となる。

「医師の紹介」とは何かと考えると、一般診療所から病院への紹介、が多いと考えられる。いわゆる「病診連携」である。病院から一般診療所への紹介も「病診連携」であり、病院から病院への紹介である「病病連携」も考えられる。一般診療所から一般診療所への紹介である「診診連携」もあるが、統計にはカウントされていないだろう。
病診連携で多いと思われるパターンは、まずは街の一般診療所に受診し、より高度な検査や治療、入院が必要となり病院へ紹介するというもの。
大学病院などの大きな病院に軽度な患者が多く受診し、待ち時間が長くなるなどの不便が起こらないためには病診連携は必要な仕組みと考えられる。

病診連携・病病連携を他の視点で考えると、紹介を受ける医療機関の客は患者だけではなく、他の医療機関も客となる
大学病院や大病院は、地域の中核病院・診療ネットワークがしっかりしている・高度な検査や手術が可能、などから紹介されることが多いと思われるが、中小病院はいかに一般診療所から患者を紹介してもらえるかが患者数に影響する、ひいては経営に影響するのではないか。

そのためにはいくつかすべきことがあるが、そのうちの1つはホームページで病診連携のページを充実させることではないかと考える(当然、紹介されるための設備や技術は必要であるが、ここでは省略)。
診療圏内に同じような規模の病院がある場合、ライバル病院に負けないようなページを作ることが、関係者が直接動かずにできる宣伝となる。
介護施設など他施設と連携を行っている場合は、そのページをしっかり作ることも重要になります。

ちなみに、2016年年10月時点での病院と一般診療所の数は以下の通り。
・病院:8.442
・一般診療所:101.529(有床7.629、無床93.900)
一般診療所は病院の約12倍である。
余談だが、歯科診療所は68.940。無床の一般診療所の方が歯科診療所よりも多い。
もう1つ余談だが、全国のコンビニの店舗数は約57.000ともいわれている。

結局 何を言いたいかと言うと、用語の定義を知らないと報道や記事を勘違いする可能性が高くなることと、何かあったら自分で調べるのがいいよね、ということでした。

 

一般診療所の受診動機を知りたいけど、難しいだろうな。
可能なら単科または2科の無床一般診療所のメイン科別の受診動機を。